WRITING & COMMUNICATION
接続の先で、
人とどう関わるか。
情報を受け取ることと、人と関係を築くこと。その間にあるずれを、取材と会話の観察から考えた文章です。
2021年のオンライン・コミュニケーション研究と、その出発点となった2020年の共同執筆を紹介します。
2021オンライン・
コミュニケーションの研究
2021年10月/調査研究/23頁
少ない情報のなかで、
信頼はどう生まれるか。
画面越しに初めて出会う相手と、何を交換し、どのように関係を進めるのか。メッセージプラットフォームでのやりとりを手がかりに、オンラインでの情報交換と信頼について検討しました。
調査の組み立て
2021年6月1日から8月30日までの記録を対象に、提供されたメッセージ履歴から7つのやりとりを選び、比較しました。複数のプラットフォームを利用する観察も行い、サービスごとの機能と利用者のふるまいを検討しています。
統計的な傾向の証明ではなく、限られた事例から会話の進み方を読み解く研究です。
何が伝わり、
何が失われるか
研究ではコミュニケーションを3つの要素に分け、文字中心のやりとりで身体や空間の情報が少なくなることを出発点にしました。
- 言語
- 文字や音声として交換する情報。
- 身体
- 表情、視線、身ぶりなどから受け取る情報。
- 空間
- 同じ場所を共有することや、相手の身の回りから得る情報。
会話を3つの
時期から読む
- 01
情報交換期
プロフィールだけではわからない、お互いの判断材料を交換する。
- 02
交渉期
日常のやりとりを続けながら、関わり方や距離を探る。長さは人によって異なる。
- 03
連絡先交換期・面会期
別の連絡手段への移行や、会うことを通じて関係が進む。
原資料で整理した会話のモデル。すべての関係が同じ順序で進むことを示すものではありません。
比較した観点
- 返信の速さと会話の持続性
- プロフィールの文章と写真
- 通話などの機能
- 利用目的の違い
- 別の連絡手段へ移るタイミング
同じサービスを使っていても、相手が何を求めているかは同じとは限りません。お互いが持つ情報の差と、関係を進める速さの違いが、会話のずれにつながると考えました。
考察から
前提となる情報を増やすこと。返答に次の質問を添え、相手を知ろうとする意思を示すこと。そして、関係がゆっくり変わる余地を残すこと。
会話を一律の手順に当てはめるのではなく、対面でのやりとりと同じように、相手への配慮が必要だとまとめました。
2020器のうえの私たち・
そしてあなたたち
2020年6月7日–20日/共同執筆/ルポルタージュ
つながっているのに、
接続されていない。
コロナ禍で授業や人間関係がオンラインへ移るなか、学生たちは何を感じ、どの情報を選び、他者とどう関わっているのか。大学生へのリサーチと文献をもとに、当時の環境を考えた共同執筆です。
「器」という出発点
ガラスの器の中の果物を、社会の構造から簡単には抜け出せない若者の姿に重ねました。情報源と、その周囲にある一方向・双方向の関係から、学生の置かれた環境を捉えようとしています。
取材から文章へ
大学生への質問を通じて、SNS、人間関係、教育環境、思春期の表現活動などについて話を集めました。原資料では匿名化し、引用の許可を得たうえで文章を整えています。
個々の声を、情報の選択や人とのつながりをめぐる考察と組み合わせ、ルポルタージュの形にまとめました。
文章のなかの問い
- 情報を選ぶ自由
- 常につながることを求められる環境で、接続を断つことや、受け取る情報を選ぶことはできるのか。
- 短い言葉のすれ違い
- 文章から抜け落ちたニュアンスを、受け手の想像だけで補うとき、何が起こるのか。
- 表現と他者
- 自分の内面を語ることは、他者や社会とどのように関わる行為なのか。
2020年から
2021年へ
2020年の文章で考えた、機器が接続されていることと人の心がつながることの違い。2021年の研究はその問題意識を引き継ぎ、実際のメッセージの流れと、信頼を築くための情報に焦点を移しています。
このページについて
2020年の共同執筆資料と2021年10月の調査研究をもとに、研究の背景・方法・考察を紹介しています。図は原資料の整理をもとに、このサイト用に再構成しました。個別の会話や取材相手の発言は掲載していません。
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