機械による反復と、残された不確かさ
形状や表面の質感を変えたオブジェクトを、矩形の額縁に配置した作品です。鑑賞者と制作者がそれぞれ思い浮かべる「主観的な美的価値」とは何かを考えました。
属人的な制作から距離を取りたいという思いと、技術への関心から、制作の自動化に取り組みました。参考にしたのは、芸術家の内面性やオリジナリティを中心に据えず、「機械のように」制作するポップアートの姿勢です。
造形作業を機械に置き換え、作者固有の技術や作業への依存を減らしました。工房制ではなく、個人で完結できるパーソナルファブリケーション(PF)の仕組みをつくることも目的でした。従来の工房を中心とした制作とは異なる方法を、自分の工程に取り入れようとしています。
額縁の中に反復する形は、大量生産システムでつくられる製品を思わせます。一方、加工時に部材を切り離さないための「タブ」は、通常なら後から取り除くところを残し、予測しきれない形の変化が生じる余地を設けました。
この反復と差異の関係には、シルクスクリーンによる大量生産的な反復と、人の手が残る版ずれの構造を重ねています。機械に任せることと、完全には揃わない形が共存することを考えた作品です。






